夜空を見上げて「あの星きれい」と言うとき、私たちは無意識のうちに、いろんなものを 「星」 というひとつの言葉でまとめて呼んでいます。

でも実は、その光って見える点には 自分で光っているもの と、光を反射しているだけのもの が混ざっています。さらに、自分で光る星にも色やサイズで何種類かあります。これを知ってから夜空を見上げると、ただの白い点だった星たちに、急に「個性」が見えるようになります。

ある夜、息子と「星にもいろんな種類があるよ」と話していて、ちゃんと答えるには「そもそも星と惑星ってなにが違うの?」も含めて整理しておかないとな、と気づきました。今回はその整理を、親子で夜空を見上げる前のガイドとしてまとめます。

色とりどりに光る恒星が満ちる夜空のイメージ
夜空に光る点はぜんぶ同じじゃない。色とサイズで、ひとつひとつに個性がある。

恒星と惑星のちがい ── 自分で光るか、光を借りるか

結論からいうと、夜空の「星」は大きく 2 種類に分かれます。

恒星(こうせい) ── 自分でエネルギーを作り出して光っている。たとえば 太陽。

惑星(わくせい) ── 自分では光らない。近くの恒星の光を反射しているだけ。たとえば 地球、金星、木星。

恒星が光るしくみは 核融合反応 です。中心部で水素がヘリウムに変わるときに膨大なエネルギーが出て、それが光と熱になって宇宙に放たれています(JAXA / 国立科学博物館の解説より)。太陽が私たちを温めてくれているのも、地球の海や草原や私たちの体を作っている材料も、もとをたどれば恒星の核融合が作り出したエネルギーと元素にたどり着きます。

一方、惑星には核融合を起こすほどの質量がないので、自分では光れません。子供向けの例えでよく使われるのが、電球とボール。電球(=恒星)が光っていて、その光を受けたボール(=惑星)が見えている、というイメージです。月や金星がきれいに見えるのも、彼ら自身が光っているのではなく、太陽の光を受けて反射しているからなんですね。

つまり「星」と一口にいっても、夜空には 光の発信源 と 光を借りているもの が同居している、というのが一段目の整理になります。

ちょっと整理:「〇〇星」の家族

「恒星」と「惑星」のほかにも、太陽系には「○○星」とつく天体がいくつも並んでいます。混乱しやすいので、よく出てくるものをまとめて並べておきます。

恒星(こうせい) ── 自分で核融合で光る星。太陽、シリウス、ベテルギウスなど。

惑星(わくせい) ── 恒星のまわりを回る、自分では光らない大きな天体。地球、金星、木星、土星など。

衛星(えいせい) ── 惑星のまわりを回る天体。地球の月、木星のエウロパなど。これも自分では光らない。

準惑星(じゅんわくせい) ── 惑星と呼ぶには少し小さく、まわりの天体を片付け切れていないもの。冥王星、エリスなど。

小惑星(しょうわくせい) ── 太陽のまわりを回る、岩石でできた小さな天体。火星と木星のあいだの「小惑星帯」に多く集まっている。

彗星(すいせい) ── 氷と塵でできた天体。太陽に近づくと氷が蒸発して、長い 尾 を引きながら光る。

流星(りゅうせい) ── 宇宙空間の小さな塵が地球の大気に飛び込んで、上空で燃えて光る現象。流星群 はこれが特定の時期に多発するもの。

隕石(いんせき) ── 流星が燃え尽きずに地表まで落ちてきたもの。

こうして並べると、「自分で光るのは恒星だけ」「惑星も衛星も小惑星も彗星も、ぜんぶ太陽の光を反射しているだけ」というのが見えてきます。夜空でキラキラしている流星も、燃えているのは大気との摩擦熱で、星自身が光っているわけではありません。

ちなみに英語では、恒星は star、惑星は planet、衛星は moon / satellite、彗星は comet と、はっきり別々の単語で区別されています。日本語だと全部「○○星」とまとめて呼ぶので、最初は混乱しやすいかもしれません。

夜空の "実は惑星" ── 肉眼で見える 5 つ

夜空でひときわ明るく見える「星」が、実は惑星だった、ということはよくあります。肉眼で見える惑星は、太陽系の中の 5 つだけ。

水星・金星・火星・木星・土星 です。これ以外(天王星・海王星)は、肉眼では見えません。望遠鏡が必要になります。

とくに 金星。「明けの明星」「宵の明星」と呼ばれていて、太陽と月の次に明るく見える天体です。夕方の西の空や、明け方の東の空に、まるで照明のように堂々と光っていることがあって、「あれ流れ星?飛行機?」と最初は思うほど明るいです。あれが恒星でなく、太陽の光を反射しているだけ、というのは知ると驚きます。

木星や土星も時期によっては夜空のとても目立つ位置にいて、双眼鏡があれば木星の ガリレオ衛星(イオ・エウロパ・ガニメデ・カリスト)まで見えます。子供の最初の天体観測としても入りやすい対象です。

見分け方のコツ ── 瞬くのが恒星、瞬かないのが惑星

恒星と惑星を見分けるいちばん簡単な方法は、瞬きを見る ことです。

瞬く(チカチカ揺れる) ── 恒星

瞬かない(じっと光っている) ── 惑星

理由はシンプルで、恒星は地球からとても遠くて、地球に届く光が「細くて弱い」ので、地球の大気の揺らぎの影響を受けてチカチカ揺れて見えます。一方、惑星は太陽系内のずっと近い距離にあって、届く光も「太い」ので、大気の揺らぎが平均化されてあまり瞬かない、というしくみです(CosmoLibrary、姫路科学館などが分かりやすく解説しています)。

ただし例外も少しあります。たとえば シリウス(おおいぬ座、全天で一番明るい恒星)は、明るすぎて瞬きが分かりにくいことがあります。逆に、地平線に近いところにある惑星は、空気の層を長く通って届くため、瞬いて見えることもあります。「瞬きで判断」は便利な目安ですが、絶対ではありません。

もうひとつのヒントは、動き です。恒星は何千年ものスケールでしか位置が変わらないので、一晩や一週間の単位では夜空での位置がほとんど動きません(地球の自転で全体が動くのは別です)。けれど惑星は、何週間か単位で 星座の中の位置がじわじわと変わっていきます。「惑(まど)う星」と書く理由がここにあります。古代の人たちも、星座を作る星はいつも同じ並びなのに、その上を不規則に動く星たちに気付いて、それを 惑星(プラネット) と呼ぶようになりました。

恒星にも種類がある ── 色とサイズの図鑑

「恒星はぜんぶ自分で光る星」とは分かっても、ここで終わりではありません。恒星にも、色とサイズで はっきりとした種類 があります。

天文学では恒星を スペクトル分類 という方法で 7 つのタイプに分けています。表面の温度が高い順に、O・B・A・F・G・K・M の 7 つ。これは温度の順番でもあり、色の順番でもあります(国立科学博物館・天文学辞典より)。

型色表面温度(K)代表例
O青29,000 〜 60,000非常に高温・短命、銀河に少ない
B青白10,000 〜 29,000リゲル(リゲルは超巨星、後述)
A白7,500 〜 10,000シリウス、ベガ
F淡黄6,000 〜 7,500プロキオン
G黄5,300 〜 6,000太陽(G2V)
K橙3,900 〜 5,300アルデバラン(巨星)
M赤2,500 〜 3,900赤色矮星(後述)、ベテルギウス(赤色超巨星)

覚え方の語呂合わせとして、英語圏では "Oh, Be A Fine Girl/Guy, Kiss Me"(オー・ビー・ア・ファイン・ガール/ガイ・キス・ミー)という古典的な暗唱句があるそうです。

HR 図(ヘルツシュプルング・ラッセル図) 横軸スペクトル型(左ほど高温)、縦軸光度(太陽=1の対数)。主系列の帯と代表的な恒星の位置を示す図。 主系列(自分の質量にあった水素核融合中) 10⁶ 10⁵ 10⁴ 10³ 10² 10 1 10⁻¹ 10⁻² 10⁻³ LUMINOSITY (L / L☉) O B A F G K M 30,000K+ 10,000–30,000K 7,500–10,000K 6,000–7,500K 5,300–6,000K 3,900–5,300K 2,500–3,900K SPECTRAL TYPE (← hotter) 巨星・超巨星 白色矮星(参考) リゲル 青色超巨星 ベテルギウス 赤色超巨星 アルクトゥルス 赤色巨星 ベガ 主系列 シリウス 主系列 太陽 G2V 主系列 プロキシマ 赤色矮星
HR 図(ヘルツシュプルング・ラッセル図)。スペクトル型(温度)と光度の 2 軸で恒星を分類する天文学の基本図。主系列の帯の上ではほとんどの恒星が水素核融合をしている時期を過ごします。帯から外れた右上(赤色巨星・超巨星)や左下(白色矮星)は、主系列を終えた終末段階。

そして大事なのが、恒星の寿命は質量に比例し、明るさに反比例する という関係です。重くて明るい星(O型)はエネルギーを派手に使い切るので寿命が短く、軽くて暗い星(M型)はゆっくり燃えるので寿命が長くなります。

代表的な恒星 ── 太陽、赤色矮星、ベテルギウス、リゲル

具体例で見たほうが体感しやすいので、よく知られた恒星をいくつか並べてみます。冬の代表星座 オリオン座 には、ちょうど色の違う 2 つの恒星 ── 赤いベテルギウスと青白いリゲル ── が対角線上に配置されていて、色比較の見本のようになっています。

オリオン座の星と星座線の点描イメージ
オリオン座。左上に赤いベテルギウス、右下に青白いリゲルが対角線で輝く。 → 星座を結ぶ「公式の線」は存在しないという話

太陽(G2V 型主系列星) ── 表面温度およそ 5,800 K、色は黄色。地球から 1 億 5 千万 km。「平凡な中堅サイズの恒星」と言われがちですが、実は銀河系の中では G 型主系列星は全主系列星の 8% 程度 と、決して多いわけではないそうです(Wikipedia 等の数値より)。寿命はおよそ 100 億年 で、現在 46 億歳。あと約 50 億年で水素を燃やし尽くし、赤色巨星へと進化していきます。

赤色矮星(M 型主系列星) ── 太陽より小さく、暗く、低温の恒星。表面温度は 3,000 K 前後で、色は赤。地味な存在に見えますが、実は 銀河系の恒星の 4 分の 3 を占める、いちばん数の多い恒星 です。さらに驚くのが寿命で、太陽の 0.1 倍程度の質量の赤色矮星だと、寿命は 10 兆年 と推定されます。宇宙の年齢(138 億年)よりもはるかに長いため、生まれてから寿命を迎えた赤色矮星はまだ宇宙にひとつもありません。系外惑星と生命 の話で TRAPPIST-1 という赤色矮星の周りに地球サイズの惑星が見つかった ── という話題が出てくるのは、この長寿と数の多さに支えられているわけです。

ベテルギウス(M1-2 型 赤色超巨星) ── オリオン座の左肩。表面温度は 3,600 K 前後と低めなので赤く見えます。地球から約 550 光年。赤色 "矮星" ではなく赤色 "超巨星" なので、寿命の最終盤に膨れ上がった大きさで、太陽の数百倍のサイズ。明るさが 0.0 等から 1.3 等まで変動する変光星で、いつ超新星爆発を起こしてもおかしくないとも言われています。

リゲル(B 型 青色超巨星) ── オリオン座の右足。表面温度は 約 12,000 K と高温で、青白く輝きます。距離は地球から約 862 光年。質量は太陽の約 21 倍、大きさは太陽の 79 倍ほど。実はベテルギウスより遠いのに、リゲルのほうが見かけ上は明るく見える、というスケールの大きさです。

シリウス(A1V 型 主系列星) ── おおいぬ座の主星で、全天で一番明るい恒星。表面温度は約 10,000 K、色は白。地球から 8.6 光年と、恒星としてはとても近い距離にあります。

冬の夜空でオリオン座を見つけたら、右下の 青白いリゲル、左上の 赤いベテルギウス、そしてそのすぐ南東に 白いシリウス ── この 3 つを順に見比べると、恒星の色の違いが一晩で全部わかります。ベテルギウス・シリウス・こいぬ座のプロキオン(黄色っぽい 1 等星)の 3 つを結ぶと、冬の夜空の有名な 冬の大三角。これに さらに リゲルの青を足すと、赤・白・黄・青 の 4 色がそろう、まるで色見本帳のような構図になります(都会の空でもベテルギウスとリゲルは届きやすい星です)。

恒星の一生 ── 終わり方は質量で決まる

HR 図で「主系列」の話をしましたが、主系列は恒星の "現役期間" にすぎません。水素を使い切ったあと、恒星は 質量によってまったく違う運命 をたどります。大ざっぱには、次の 4 通りに分かれます。

質量範囲主系列での姿主系列後 〜 終末主系列の寿命 (目安)
0.08 〜 0.5 太陽質量赤色矮星(M 型)核融合がゆっくり進み、赤色巨星にはならず、ヘリウム白色矮星化していく(理論上)1 兆 〜 10 兆 年
0.5 〜 8 太陽質量太陽型・橙色矮星(K/G/F/A 型)など赤色巨星 → 外層を放出 → 惑星状星雲 → 中心に 白色矮星 が残る1 億 〜 100 億 年
8 〜 25 太陽質量青色〜青白色(O/B 型)赤色超巨星 → 超新星爆発(II 型) → 中性子星1,000 万 〜 1 億 年
25 太陽質量 以上最も高温の青色超巨星(O 型)超新星爆発 →(または直接重力崩壊)→ ブラックホール数百万 年

身近な恒星に当てはめると、太陽は 2 番目のグループ。あと 50 億年ほどで赤色巨星に膨らんで地球を呑み込み、そのあと外層を吹き飛ばして惑星状星雲になり、中心に地球サイズの白色矮星が残ります。一方で、オリオン座の ベテルギウス(赤色超巨星)は 3 番目のグループの末期で、遠くない将来(天文学的には今すぐでも数十万年後でもおかしくない範囲)に超新星爆発を起こすと予測されています。

白色矮星も中性子星もブラックホールも、もとはどれも恒星でした。夜空に光っている 北極星 や アンドロメダ銀河 を作っている膨大な数の星たちは、いま全員がこの「一生のどこか」にいるわけです。

Gravity Weaver で「恒星と惑星」を体感する

このプロジェクトで作っているブラウザゲーム Gravity Weaver は、ちょうどこの「恒星と惑星」の関係を遊びに落とし込んでいます。

ステージ中央の Start 惑星 や Goal 惑星 は、見た目は「惑星」と呼んでいますが、ゲームのなかでは 重力の中心 として働きます。これは現実の太陽系で 恒星(太陽) が果たしている役割と同じ構図です。その周りを 太陽のかけら が軌道を描いて回っていく ── 太陽の周りを地球や火星が回っているのを、画面の中で再現していることになります。

後半の星座ステージでは、実在の恒星 ── ベテルギウス・リゲル・シリウス・北極星など ── を結んで形を作るところも体験できます。ゲーム内で オリオン座 を一度なぞった後に、夜空で実物のベテルギウスやリゲルを見つけると、「あ、これか!」となります。私たち親子も、ゲームの「光る点」を覚えてから本物の夜空を見上げる、という順番で星に親しんでいきました。

知ると夜空が立体的に見える

ここまで整理してくると、夜空を見上げる体験が変わってきます。

· 瞬く点は 恒星、瞬かない点は 惑星

· 恒星は 自分で核融合で光る、惑星は 太陽の光を反射する

· 恒星には OBAFGKM の 7 タイプ、色(青〜赤)とサイズで個性がある

· 太陽は G 型主系列星、赤色矮星は M 型・宇宙でいちばん数が多い・寿命数兆年

· ベテルギウス(赤)・リゲル(青)・シリウス(白)を冬の夜空で見比べると色の違いが一発でわかる

今夜、もし晴れていたら、夜空を見上げて 「これは恒星かな?惑星かな?」 と子供と当てっこしてみると、それだけで観察会になります。北極星の見つけ方 や 1 光年の距離 の話とあわせると、「夜空」が地名や個性のある場所に変わってきます。