LUPUS

おおかみ座 ― ケンタウルスの槍に捕らえられた「野獣」

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Constellation artwork © Johan Meuris / Stellarium — Free Art License (recolored & repositioned for display)

略符
Lup
最も明るい星
α Lup
観測時期
夏(北半球)
面積順位
46th
日本での見つけやすさ
★★★☆☆
南の低空にだけ上がる

概要

おおかみ座は、夏の宵の南の低い空、さそり座とケンタウルス座のあいだにある星座です。面積は88星座中46位。いちばん明るいα星(等級2.30)をはじめ、2等星と3等星が合わせて10個近くもそろっていて、星の数だけなら夏の南天でもにぎやかな部類に入ります。ただし星座の南端は赤緯マイナス55度に達し、日本からは地平線すれすれにしか昇らないため、全体をきちんと見るのが難しい星座でもあります。星座の全体が地平線の上に出るのは北緯34度より南の土地に限られ、本州の大部分では南の一部が欠けたままです。

紀元2世紀にプトレマイオスがまとめた48星座のひとつで、歴史はたいへん古いものです。もともとは西どなりのケンタウルス座と一体に扱われ、ケンタウルスが槍の先に捕らえた「野獣(テリオン)」として描かれていました。狼と呼ばれるようになったのはルネサンス期以降のことで、1603年のヨハン・バイエルの星図『ウラノメトリア』には、ラテン語の「LVPVS(狼)」の名で、ケンタウルスに槍で突かれる狼の姿が描かれています。バイエルが星につけたギリシャ文字は、18世紀に南天を観測したラカイユがほぼ全部振り直したため、バイエルが20個の星につけたギリシャ文字は、18世紀に南天を観測したラカイユがほぼ全部振り直したため、現在の符号は基本的にラカイユのものです。

天の川の西のふちにあたる方向にあり、α星・β星・γ星をはじめとする青白いB型星の多くは、太陽にもっとも近い大質量星の集団「さそり・ケンタウルスOBアソシエーション」の一員です。また1006年には、記録に残る中で最も明るい超新星SN 1006がこの星座に現れ、日本でも藤原定家の日記『明月記』にその記録が残っています。

見つけ方

6月から7月の午後9時ごろ、南の空にさそり座の赤い1等星アンタレスを見つけます。アンタレスから右下(南西)へ、さそりの頭にあたる3つの星をさらに越えて15度ほど下ると、地平線近くにおおかみ座の北半分が見えてきます。東京付近では、α星の南中高度が約7度、β星で約11度、γ星で約13度、いちばん北のχ星・φ星でも約18〜21度しかありません。沖縄(北緯26度付近)ならそれぞれ10度ほど高くなり、星座のほぼ全体が地平線の上に出ます。見頃の時刻は月ごとに早まり、5月なら夜半前、8月なら日没後まもなくの南西の空が同じ高さになります。

星座線は、α星から南東のζ星へいったん下り、そこから北へε星、γ星と狼の背中をたどり、γ星から北東のη星、さらにχ星・φ1星へと頭の部分を作ります。γ星からδ星・β星へ折り返す枝が前足です。全体の広がりは15度ほどで、2〜3等星が背骨のように連なるので、高く昇る土地では意外にたどりやすい形です。ただし背骨の南のはしにあるζ星は赤緯マイナス52度で、東京では南中しても高さ2度ほど。ゲームでは灯す星のひとつですが、本州の空で実際に見るのはほぼ不可能で、沖縄でようやく10度あまりに顔を出します。

問題は高さです。地平線に近い星は大気の吸収で暗くなり、2等星でも3〜4等星のように見えてしまいます。南の地平線が海や平野まで開けた場所を選び、梅雨の晴れ間か、7月上旬の透明度の高い夜をねらいましょう。目印になるケンタウルス座のα星・β星は東京からほぼ見えないので、アンタレスとてんびん座から下ってくる探し方が現実的です。てんびん座の南の星(σ星やυ星)の真下、地平線との間に見える青白い星の列がγ星・η星・χ星の頭の部分で、ここまで確認できれば「おおかみ座を見た」といってよいでしょう。双眼鏡があれば、低空のかすんだ星でも色の違いまで分かります。

神話と文化

おおかみ座には、この星座の由来を語るギリシャ神話がありません。紀元前3世紀のアラトスの詩『ファイノメナ』では、ここの星々はケンタウルス座の一部の「野獣」として歌われ、エラトステネスは、ケンタウロスが生贄として野獣をつかみ、祭壇(さいだん座)へ運ぶ姿だと説明しました。ケンタウルス座・おおかみ座・さいだん座の3つで、ひとつの生贄の儀式の場面を作っていたわけです。実際の空でも、ケンタウルス座の東におおかみ座、そのさらに南東にさいだん座が並んでいて、槍に刺した獣を祭壇へ差し出す構図が星の配置そのままに読み取れます。ヒッパルコスが「テリオン(野獣)」の名で区別し、プトレマイオスは『アルマゲスト』で19個の星をもつ独立の星座として数えました。

起源はさらに古く、古代メソポタミアの星座にさかのぼるとされます。紀元前1000年ごろにまとめられた天文文書『ムル・アピン』(現存最古の写本は紀元前7世紀)に、人の頭と獣の体をもつ想像上の生き物「ウル・イディム(狂った犬)」の星座があり、ギリシャの野獣はこれを受け継いだと考えられています。2024年にIAUがα星の固有名として採用した「ウリディム(Uridim)」はこの名に由来します。狼と決まったのはルネサンス期で、19世紀末にアレンが紹介した「ゼウスに狼へ変えられたアルカディア王リュカオンの姿」という説は、古い伝承の裏づけがない後付けとされています。

中国の星座では、おおかみ座の星々は天の軍勢の領域にあたり、「騎官(きかん)」「車騎(しゃき)」「陣車(じんしゃ)」といった軍の星官に分けられていました。α星は騎官の十番星、β星は四番星、γ星は一番星で、β星の西洋名「ケコウアン」は騎官の音写です。1006年の超新星も、中国や日本の記録では「騎官に現れた客星」として書き留められました。日本語名は1874年の『星学捷径』で「狼」と訳され、1952年に日本天文学会がひらがな表記を定めた際に「おおかみ」となりました。現代の中国語では「豺狼座(さいろうざ)」と呼ばれています。

星の豆知識

ウリディム(α Lup) — 約460光年にある青色巨星で、スペクトル型はB1.5 III、等級2.30。太陽の約10倍の質量をもち、表面温度は24,000度を超えます。約7時間の周期で0.05等ほど明るさが変わる、ケフェウス座β型と呼ばれる脈動変光星です。β星・γ星とともに、さそり・ケンタウルスOBアソシエーションの中の「上ケンタウルス・おおかみ」というグループに属し、生まれてまだ数千万年の若い星です。β星(約380光年、B2 III)とγ星(約420光年、B2 IV)も同じ仲間で、β星は複数の周期で脈動するケフェウス座β型変光星、γ星は2.85日で回る近接連星に、さらに約210年周期の伴星が加わった三重星です。おおかみ座の明るい星が軒並み青白いのは、同じ場所で同じころに生まれた兄弟星だからです。

SN 1006 ― 記録に残る最も明るい超新星 — 1006年の4月末から5月初めにかけて、β星の北北東1.3度ほどの位置に、それまで何もなかった場所に突然「客星」が現れました。最大で等級マイナス7.5、金星の16倍ほどの明るさと推定され、昼間にも見え、夜には地面に影ができたと伝えられます。中国の『宋史』、エジプトの医師アリー・イブン・リドワーンの記録、スイスのザンクト・ガレン修道院の年代記など、世界各地に記録があります。日本では『明月記』に、騎官の中に火星(熒惑)のような客星が現れたと記されています。これは定家自身の観測ではなく、鎌倉時代に過去の客星の記録を書き写したもので、その分野ではよく知られた資料です。約7,200光年で起きた白色矮星の爆発(Ia型)と考えられ、いまは直径30分角ほど、満月と同じくらいの大きさの丸い殻としてX線や電波で観測されています。見かけの大きさと距離から、殻の実際の直径はおよそ20パーセク(約65光年)に達すると見積もられ、1,000年かけて広がり続けている爆発の跡です。

ε Lup と ζ Lup — ε星は約510光年の三重星で、内側の2つのB型星がわずか4.56日で互いを回っています。2015年には、この2つがそろって強い磁場をもつ「二重磁気大質量連星」の最初の例として報告されました。いっぽうζ星は約117光年と近く、星座の明るい星の中でただ一つの黄色い巨星です。中心でヘリウムを燃やす「赤色クランプ星」という段階にあり、青白い若い星ばかりのおおかみ座の中では、年老いた別世代の星といえます。肉眼で見えない星にも話題があり、約500光年の若い星GQ星(GQ Lup)のそばには、直接撮像で写された最初期の太陽系外惑星候補のひとつとされる伴星GQ Lup bがあり、惑星か褐色矮星か議論が続いています。

NGC 5986 と網膜星雲 — おおかみ座にメシエ天体はありませんが、北部には球状星団NGC 5986があります。約34,000光年、等級8.0で、1826年にスコットランドの天文学者ジェームズ・ダンロップが発見しました。もうひとつ有名なのが惑星状星雲IC 4406で、筒のような形を横から見ているため、内部に細い筋が幾重にも走って見え、その姿から「網膜星雲」と呼ばれます。ハッブル宇宙望遠鏡の画像でよく知られる天体です。どちらも8等前後から10等台で、日本の低空から狙うのは難しく、南半球や沖縄の暗い空での対象です。

Gravity Weaver での攻略

おおかみ座は、ゲームでは8ステージ構成の大きな星座。ウリディム(α星)から始まり、β星、ζ星、ε星、γ星、φ1星、η星、χ星の順に、狼の背中から前足、頭へと灯していきます。星座の登場順はプレイごとに変わり、日本で見つけにくい星座ほどゲームでも出にくくなっています。

主役ギミックは 板隕石(SlabMeteor)。通常の丸隕石に混じって横長の板状隕石が出現し、ケンタウルスの槍のように狼の体を横切ります。横幅が広いぶん引力場で迂回するには余裕のあるスペースが要るので、板の進路を見てから引力場の位置を決めましょう。2〜3等星が連なる背骨のコースは1ステージあたりの距離が長めで、板をひとつ待ってから一気に進む判断がそのまま手数の差になります。α星からβ星へ向かう序盤は距離が短いので、板の抜けた直後に引力線でまっすぐ投げるだけで届くことが多く、ここで手数を節約しておくと後半に余裕が生まれます。

8ステージと長い星座なので、後半には 強重力ブラックホール と パルサー が加わります。強重力ブラックホールは加速したかけらでも振り切れないので、板を避ける迂回路がそのまま吸い込まれる側へ寄らないよう注意。頭を作るφ1星〜η星〜χ星は折り返しが続く区間なので、パルスの周期を待って折れ点の手前に小さな引力場を置き、向きを変えてから次の星へ向かう二段構えが安定します。ζ星からε星、γ星へ背骨を北上する中盤は、板隕石の進路と強重力ブラックホールの位置を先に確認し、狼の体の「外側」を大きく回る迂回路を選ぶと事故が減ります。

おおかみ座を本編で描いて、集めよう

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主な星

星名 バイエル符号 等級 スペクトル型
ウリディム(Uridim)α Lup2.30B1.5 III
β Lupβ Lup2.68B2 III
γ Lupγ Lup2.80B2 IV
δ Lupδ Lup3.22B1.5 IV
ε Lupε Lup3.37B2 IV-V
ζ Lupζ Lup3.41G8 III
η Lupη Lup3.42B2.5 IV
φ1 Lupφ1 Lup3.57K5 III
χ Lupχ Lup3.97B9.5 III-IV

「Gravity Merge」の星座帳におおかみ座を灯そう

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