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Constellation artwork © Johan Meuris / Stellarium — Free Art License (recolored & repositioned for display)
つる座は、秋の宵の南の低い空、みなみのうお座の1等星フォーマルハウトの下(南)に広がる星座です。面積は88星座中45位と中くらいですが、青白いα星アルナイル(等級1.73)と赤いβ星チアキ(等級2.07)という2等星クラスの明るい星を2つもち、南天では見ごたえのある星座のひとつに数えられます。ただ、星座の中心が赤緯マイナス47度前後と南に深いため、日本の大部分からは地平線すれすれにしか上がりません。日本の星座解説で「南の地方へ行ったら探したい星座」として名前が挙がるのは、そのためです。
16世紀の終わり、オランダの航海者ケイセルとデ・ハウトマンが東インド航海で測った南天の星をもとに、プランシウスが1598年の天球儀に描き、全天を初めて1冊に収めた1603年のバイエルの星図『ウラノメトリア』で広まった「南天の12星座」のひとつです。この一帯の星々はもともと北どなりのみなみのうお座の一部と見なされていて、γ星の固有名アルダナブ(アラビア語で「尾」)は、この星が魚の尾にあたっていたころの名残です。
星座絵には、長い首をまっすぐ伸ばして飛ぶ鶴の姿が描かれます。北のγ星が頭、λ星とδ星が首、アルナイルとチアキが体、南のε星・ζ星が脚と尾です。全体は南北に20度あまりと大きく、鶴の体からさらに東へι星・θ星が翼のように伸びています。くじゃく座・ほうおう座・きょしちょう座とともに「南の鳥」とまとめて呼ばれる仲間で、東どなりのほうおう座とは秋の南の空で並んで昇ってきます。南半球では春の宵に頭上高くかかる、なじみ深い星座です。
10月から11月の午後9時ごろ、南の空の低いところに「秋のひとつ星」フォーマルハウトを探します。東京付近では高さ25度ほど。その真下、地平線とのあいだに3等星のアルダナブが高さ17度ほどで見え、さらにその下、高さ7度あたりにアルナイルとチアキが東西に並びます。2つの間隔は6度ほどで、腕を伸ばした指3本分。西(右)が青白いアルナイル、東(左)が赤いチアキです。フォーマルハウトから真南へ視線を下ろしていくのが、つる座を見つけるいちばんの近道です。時期は9月なら深夜、10月なら宵、12月には日没後すぐと、季節が進むほど早い時刻に南中します。
星が南中したときの高さは「90度 − 観測地の緯度 + 星の赤緯」で求まります。アルナイルの赤緯はマイナス47度なので、北緯36度の東京付近では約7度、北緯26度の沖縄なら約17度まで上がります。赤緯マイナス37度のアルダナブは同じ計算で東京付近で約17度、沖縄で約27度です。緯度が10度南へ下がるごとに星座が10度高くなるわけで、つる座は「南へ行くほど見やすくなる」星座の代表です。星座の南端まで地平線上に出るのは、九州の中部より南の土地に限られます。
関東付近では2等星の2つも大気の減光で3等星ほどにしか見えないので、南の水平線が開けた海辺や高台で、澄んだ夜を選んでください。双眼鏡があれば、アルナイルとチアキのあいだのやや北に、黄色いδ1星と赤いδ2星が寄り添う肉眼二重星が見つかります。そこからアルダナブへ首をたどる途中には、同じく肉眼二重星のμ1・μ2もあります。ε星・ζ星は東京付近ではほぼ地平線に張りつくので、南の地方や海外旅行での楽しみにとっておきましょう。逆にオーストラリアやニュージーランドでは、春の宵に頭の上で堂々と翼を広げる姿を見ることができます。
つる座にギリシャ神話はありません。1595年から1597年にかけての最初のオランダ東インド航海で、航海士ペーテル・ケイセルとフレデリック・デ・ハウトマンが南天の星の位置を測りました。ケイセルは航海の途中で亡くなりましたが、記録はオランダへ持ち帰られ、それをもとに天文学者ペトルス・プランシウスが、1598年にアムステルダムで出版した直径35センチの天球儀に鶴の姿を描いたのが始まりです。1603年にヨハン・バイエルの星図『ウラノメトリア』に載って広く知られるようになりました。
鳥の種類は、しばらく定まりませんでした。デ・ハウトマン自身は1603年の星表で「Den Reygher(サギ)」と呼び、1605年にはパウルス・メールラが「Phoenicopterus(フラミンゴ)」の名を与えています。しかし結局は、プランシウスとバイエルが使ったラテン語の「Grus(鶴)」が生き残りました。長い首と脚をもつ水辺の鳥という点では、3つの候補はどれも同じ姿を見ていたことになります。星の記号も1756年にラカーユがαからφまで割り当て、1879年にグールドがκ・ν・ξ・οを足したもので、ギリシャ文字なのにギリシャ神話とは無縁という、近世の南天星座らしい生い立ちです。ケイセルとデ・ハウトマンが持ち帰った星は、ほかにもほうおう座・きょしちょう座・くじゃく座・カメレオン座など12の星座になり、南天の空白を一気に埋めました。
中国の古い星図にはこの領域がなく、1631年から1635年にかけてイエズス会士アダム・シャールと徐光啓が編んだ『崇禎暦書』で、南方の星として初めて「鶴」の星官が置かれました。アルナイルは「鶴一」、チアキは「鶴二」です。この記載は1752年の『欽定儀象考成』にも引き継がれました。日本では1908年に「鶴」の訳名が使われ、1952年に日本天文学会がひらがなの「つる」に定めました。西洋で生まれた鶴が、長寿の吉鳥として親しまれてきた東洋の鶴にそのまま置き換えられた、めずらしく国境のない星座です。
アルナイル(α Gru) — 約101光年の青白いB型星で、等級1.73はつる座でいちばん明るく、全天でも上位30番台に入ります。表面温度は約14,000度、質量は太陽の約3.8倍、自転速度は秒速215キロメートルという高速回転の星です。年齢は約1億年と若く、同じころ同じ場所で生まれた星の群れ「ABドラドゥス運動星団」の一員と考えられています。船や飛行機の天測航法に使われる代表的な星のひとつでもあります。名前はアラビア語の「明るいもの」に由来し、もとは「(南の魚の)尾の明るい星」という長い呼び名の一部でした。2016年にIAU(国際天文学連合)の正式名になっています。
チアキ(β Gru) — 約177光年の赤色巨星(M型)で、等級は2.0から2.3のあいだをゆっくり不規則に変わる半規則変光星です。半径は太陽の150倍ほど、表面温度は約3,500度と低く、赤外線で見ると全天で5番目に明るい星になります。チアキの名はポリネシアのツアモツ諸島の伝承に由来し、2017年9月にIAUが正式名として承認しました。青白いアルナイルと赤いチアキの色の対比は、双眼鏡でもはっきり分かります。年齢は約4億5,000万年と推定され、太陽より重い星が寿命の終わりに大きくふくらんだ姿です。
アルダナブ(γ Gru) — 約211光年の青白いB型星で、等級3.0。表面温度は約12,500度、明るさは太陽の370倍ほどで、年齢は約7,500万年です。鶴の頭にあたる星ですが、名前はアラビア語の「尾」で、みなみのうお座の一部だった時代の名残です。2017年にIAUの正式名になりました。鶴の首にあたるλ星のすぐ西(アルダナブからは南東へ2度あまり)には、1894年にオーストラリアのウォルター・ゲイルが見つけた惑星状星雲IC 5148「スペアタイヤ星雲」があり、約3,000光年の距離で秒速50キロメートルという最速級の速さで膨らんでいます。
肉眼二重星と「つる座の四重奏」 — 鶴の首にあたるδ星は、黄色い巨星δ1(4.0等、約309光年)と赤い巨星δ2(4.0〜4.2等、約356光年)が満月の半径ほど離れて並ぶ肉眼二重星で、たまたま同じ方向に見えているだけの見かけの二重星です。同じく首のμ1・μ2も肉眼で分かれる黄色い巨星のペアです。首の付け根のπ1星は、炭素と酸素の量が釣り合った珍しいS型の赤色巨星で、5.3等から7.0等まで半年ほどの周期で変光します。銀河では、NGC 7552・7582・7590・7599の4つが約6,000万〜7,000万光年の距離で互いに引き合う「つる座の四重奏(Grus Quartet)」が有名で、7552と7582は激しい星形成を起こしています。約3,750万光年のNGC 7424では2001年に超新星SN 2001igが見つかり、τ1星には2002年に惑星が発見されました。
つる座は、ゲームでは7ステージ構成の大きめの星座。アルナイルから始まり、δ1星、チアキ(β星)、λ星、ε星、アルダナブ(γ星)、ζ星の順に、鶴の体の三角形を作ってから首、脚、頭、尾の先へと灯していきます。青白いアルナイル、赤いチアキ、黄色いδ1星と、体の三角形だけで3色がそろうので、灯していく楽しさのある星座です。星座の登場順はプレイごとに変わり、日本で見つけにくい星座ほどゲームでも出にくくなっています。
主役ギミックは Stream(重力流)。渡り鳥を運ぶ風のように、画面を横切るシアン色の流れが太陽のかけらを矢印の向きに加速させます。長い首や脚を一気に渡るには頼もしい半面、流れの先にブラックホールがあると引力を振り切れません。乗る前に進入角を整え、抜けた先に小さな引力場を置いて受け止めるのがコツです。流れの向きが目的の星と逆なら、無理に乗らず流れの外を回る判断も要ります。
7ステージと長い星座なので、後半には減速雲と板隕石が加わります。青緑色の雲は中を通るあいだ速度を奪うので、雲の手前で流れに乗って十分に加速しておくこと。横長の板隕石は迂回に広いスペースが要るので、板の進路を見届けてから引力場の位置を決めましょう。首から頭へ向かうλ星〜γ星と、脚のε星〜ζ星は長距離の投擲になるので、流れで距離を稼いでゴール手前で受け止める二段構えが安定します。最後のζ星は画面の隅に近いので、投げる前にブラックホールと板隕石の位置を確かめてから、流れの出口と引力場を決めましょう。
つる座を本編で描いて、集めよう
PLAY GRAVITY WEAVER| 星名 | バイエル符号 | 等級 | スペクトル型 |
|---|---|---|---|
| アルナイル(Alnair) | α Gru | 1.73 | B7 IV |
| チアキ(Tiaki) | β Gru | 2.07 | M5 III |
| アルダナブ(Aldhanab) | γ Gru | 3.00 | B8 III |
| ε Gru | ε Gru | 3.49 | A3 V |
| ι Gru | ι Gru | 3.88 | K0 III |
| δ1 Gru | δ1 Gru | 3.97 | G6/G8 III |
| ζ Gru | ζ Gru | 4.11 | G8 III |
| δ2 Gru | δ2 Gru | 4.12 | M4.5 III |
| λ Gru | λ Gru | 4.47 | M0 III |
「Gravity Merge」の星座帳につる座を灯そう
PLAY GRAVITY MERGE