MICROSCOPIUM

けんびきょう座 ― やぎ座の足元に置かれた、4等星だけの顕微鏡

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Constellation artwork © Johan Meuris / Stellarium — Free Art License (recolored & repositioned for display)

略符
Mic
最も明るい星
γ Mic
観測時期
秋(北半球)
面積順位
66th
日本での見つけやすさ
★★★☆☆
南の低空にだけ上がる

概要

けんびきょう座は、秋の宵に南の低い空へ上がる小さな星座です。面積は88星座中66位(約210平方度)。いちばん明るいγ星でも4.67等で3等星はひとつもなく、88星座の中でも暗い部類に入ります。

18世紀半ば、フランスの天文学者ニコラ=ルイ・ド・ラカイユが、南アフリカの喜望峰で1751年から52年にかけて南天を観測したあとに設けた14の星座のひとつです。1756年の星図ではフランス語の「ル・ミクロスコープ」、1763年の星図でラテン語の「ミクロスコピウム」と記されました。ラカイユ自身は「四角い箱の上に置いた筒」と説明しただけの簡素な図で、レンズを2枚以上組み合わせる複式顕微鏡をかたどっています。

星座としては新しいものの、星々は古代から知られていました。紀元2世紀のプトレマイオスがみなみのうお座の外側に置いた6つの「星座に属さない星」のうち3つは、いまのα星・γ星・ε星と考えられています。

見つけ方

9月中旬の午後9時ごろ、南の空の低いところで南中します。目印は秋の南の空にぽつんと光るみなみのうお座の1等星フォーマルハウトで、そこから西(右)へおよそ25度たどった先の、やぎ座の逆三角形の真下がけんびきょう座です。

星座線は、東のε星から中央のγ星、南西のα星へと続く、長さ6〜7度ほどの短い線です。3つとも4.7〜4.9等とほぼ同じ明るさですが、γ星とα星は黄色い巨星、ε星は白い星と色が少し違います。東京付近では、南中してもγ星とε星で高さ約22度、α星で約20度、θ1星は約13度しか上がりません。

4等星ばかりのうえ低空なので、街の空で肉眼で見つけるのは難しく、南の地平線近くが開けた暗い場所と双眼鏡が頼りです。フォーマルハウトとやぎ座のあいだを双眼鏡でゆっくり流し、東西に並ぶ3つの星を探しましょう。北緯45度より南なら星座の全体が地平線の上に出るので、日本ではほぼ全国から全域を見ることができます。

神話と文化

けんびきょう座に古代の神話はありません。ラカイユが南天に設けた14の星座のうち、テーブルさん座を除く13は、望遠鏡・時計・ポンプなど啓蒙時代の科学や芸術の道具です。ギリシャ時代には暗すぎて見過ごされていた一角に、近代科学を象徴する道具のひとつだった顕微鏡を置いたわけです。

この星座の東の端から、みなみのうお座・やぎ座との境界付近にかけては、かつて「軽気球座(グロブス・アエロスタティクス)」という星座もありました。1798年にフランスのラランドが、モンゴルフィエ兄弟の熱気球をたたえて設けたもので、ボーデの星図にはけんびきょう座のすぐ隣に描かれています。軽気球座は定着せずに消えましたが、2026年7月に国際天文学連合(IAU)は、その中でいちばん明るかったε星に「アエロスタティクス」という固有名を与えました。

中国では、α星・γ星・ε星を玉の飾り「璃瑜(りゆ)」、南の星々を北のやぎ座にある皇帝の田「天田」を潤したと考えられる9本の水路「九坎(きゅうかん)」とする資料がありますが、割り当ては資料によって異なります。日本では明治以来「顕微鏡」の訳が使われ、1931年の天文年鑑には山本一清が推した「むしめがね」の名も載りましたが、1952年に日本天文学会が「けんびきょう」を正式名と定めました。

星の豆知識

γ Mic — 星座でいちばん明るい4.67等の黄色い巨星で、約220光年にあります。質量は太陽の2.5倍あまり、明るさは60倍ほど。2015年にバイラー=ジョーンズがヒッパルコス衛星の観測から、約380万年前に太陽から1〜4光年ほど(最も近ければ約1.1光年)まで接近した可能性を示しました。しかし2018年にガイア衛星のデータで計算し直すと当時の距離は約65光年となり、接近は再現されていません。2つの衛星の測定が食い違っていて、どちらが正しいかは未解決です。

α Mic・ε Mic・θ1 Mic — α星はγ星とよく似た4.89等の黄色い巨星ですが、距離は約400光年と2倍近く遠く、半径は太陽の18倍ほど。ε星(アエロスタティクス)は約166光年の白いA型星で、少なくとも秒速127 km(視線方向に投影した値)という速さで自転しています。南のθ1星は強い磁場をもつ特異なA型星で、2.125日の周期で0.1等ほど明るさを変える、りょうけん座α2型変光星です。

AU Mic とラカイユ8760 — 見どころは肉眼で見えない星にあります。AU星は約32光年にある8.7等の赤色矮星で、年齢はわずか2,000万年ほど。2003年に初めて画像にとらえられた塵の円盤が200天文単位を超えて広がり、2020年にはTESS衛星が海王星ほどの惑星bを見つけ、続いて惑星cも確認されました。ラカイユ8760(AX星)は約12.9光年と太陽系にごく近い赤色矮星で、6.7等と暗いながら赤色矮星としては全天でもっとも明るい部類。突発的に明るくなるフレア星でもあります。

Gravity Weaver での攻略

けんびきょう座は、ゲームでは3ステージ構成の短い星座。星座を代表するγ星から始まり、南西のα星、次に東へ折り返してε星の順に、顕微鏡の筒をなぞるような東西の線を灯していきます。星座の登場順はプレイごとに変わり、日本で見つけにくい星座ほどゲームでも出にくくなっています。

主役ギミックは Nebula(減速雲)。標本のように青緑色のガス雲が通り道に浮かび、太陽のかけらが中を通るあいだ速度をじわじわ奪います。雲を抜けた先で勢いを失って時間切れになりがちなので、雲に入る前に十分な速度をつけておくのがコツです。γ星からα星への序盤は距離が短いので、雲の手前に引力場を置いて振り回すように加速し、雲を斜めに短く横切りましょう。次に加わる 板隕石(SlabMeteor) は、丸隕石に混じって横長の板状隕石が出現し、スライドガラスのように筒を横切ります。板の進路を見てから引力場の位置を決めるのが安全です。

後半には 強重力ブラックホール が加わります。質量2.5倍の赤橙色のブラックホールは、加速して青くなったかけらでも振り切れません。α星からε星へは、γ星のそばを通り越して東へ向かう長めの投擲になります。雲で速度を落とした直後は引力に捕まりやすいので、雲とブラックホールの位置関係を先に確かめ、離れた側へ大きくふくらませてから戻す軌道を組みましょう。

けんびきょう座を本編で描いて、集めよう

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主な星

星名 バイエル符号 等級 スペクトル型
γ Micγ Mic4.67G8 III
アエロスタティクス(Aerostaticus)ε Mic4.71A0 V
θ1 Micθ1 Mic4.80A2p
α Micα Mic4.89G8 III
ι Micι Mic5.11F1 IV
ν Micν Mic5.12K0 III
ξ Micξ Mic5.25F5 V
ζ Micζ Mic5.32F3 V

「Gravity Merge」の星座帳にけんびきょう座を灯そう

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