SCULPTOR

ちょうこくしつ座 ― 星のいちばん少ない秋の南天に置かれた、彫刻家の仕事場

ドラッグで移動 ・ ホイール / ピンチで拡大縮小

Constellation artwork © Johan Meuris / Stellarium — Free Art License (recolored & repositioned for display)

略符
Scl
最も明るい星
α Scl
観測時期
秋(北半球)
面積順位
36th
日本での見つけやすさ
★★★☆☆
南の低空にだけ上がる

概要

ちょうこくしつ座は、秋の宵に南の低い空へ上がる星座です。くじら座の南、みなみのうお座の1等星フォーマルハウトの東どなりにあり、面積は88星座中36位(約475平方度)と中くらいの広さです。ただし、いちばん明るいα星でも4.30等で、4等星が4つほど散らばるだけ。星座線をたどるより、「星の少ない暗い一角」として見つける星座です。星が少ないのには理由があり、天の川銀河の円盤を垂直に抜けて外を見る方向、銀河座標の南極にあたる「南銀極」がこの星座の中にあります。

18世紀半ば、フランスの天文学者ラカイユが、喜望峰での南天観測(1751〜52年)のあとに設けた14の近代星座のひとつです。1756年の星図では「彫刻家の仕事場」と名づけ、三脚のテーブルにのせた彫像の頭部と、大理石の塊に置いた木づちとのみを描きました。1763年の星図でラテン語の「アパラトゥス・スクルプトーリス(彫刻家の道具)」となり、1844年にジョン・ハーシェルが一語に短くすることを提案、翌年のベイリーの星表から「スクルプトル(Sculptor)」と呼ばれています。現在の境界で測ると、ラカイユの14星座の中でいちばん大きな星座です。

見つけ方

11月中旬の午後9時ごろ、南の空に秋の南天でただひとつの1等星、みなみのうお座のフォーマルハウトを見つけます。α星はその東(左)およそ26度にあり、南中するときの高さはフォーマルハウトとほぼ同じです。もうひとつの目印はくじら座の尾の2等星ディフダ(β星)で、その南およそ12度、わずかに東へ寄ったところがα星です。南中は10月なら真夜中、12月なら日暮れ後まもなくです。

星座線は、東端のα星から西へおよそ15度離れたδ星まで長く伸び、δ星から南西のγ星、さらに南のβ星へ折れる、ゆるいL字です。東京付近では、南中してもα星で高さ約25度、δ星で約26度、γ星で約22度、β星は約16度と、みなみのうお座と同じかそれより低い空です。

4等星ばかりなので、街の空では1つも見えません。フォーマルハウトの東に広がる「何もない」暗い一角を、双眼鏡でゆっくり流すのが確実です。星座の全体が見えるのは北緯50度より南で、日本ではどこからでも全体を見ることができます。

神話と文化

ちょうこくしつ座に神話はありません。ラカイユは南天の空白に、望遠鏡・顕微鏡・時計・ポンプ・らしんばんなど、当時の科学と技術を象徴する道具の星座を14置きました。彫刻刀をかたどった「ちょうこくぐ座(Caelum)」とは別の星座です。1801年にはボーデが星図から大理石の塊を外し、そこに「電気機械(マキナ・エレクトリカ)」という星座を置きましたが、定着しませんでした。

中国では、この付近の星々を刃物の「鈇鑕(ふしつ)」「鈇鉞(ふえつ)」や、鳥を捕る網「八魁(はっかい)」に見立てましたが、どの星が対応するかは資料ごとに違います。日本語名は1910年の日本天文学会で「彫刻室」と訳され、1952年にひらがなの「ちょうこくしつ」に定められました。

星の豆知識

α Scl — ちょうこくしつ座でいちばん明るい4.30等の星ですが、約780光年と遠く、実際には太陽の1,500倍ほどの明るさをもつ青白い巨星です。質量は太陽の約5倍で、生まれてまだ9,000万年ほど。強い磁場をもつ「おひつじ座SX型変光星」で、自転につれて0.1等に満たない明るさの変化を見せます。

β・γ・δ Scl — ほかの3つは、α星より格段に近い星です。β星(4.38等)は約174光年の青白い星で、水銀とマンガンが異常に多く見える「水銀・マンガン星」。γ星(4.41等)は約182光年のオレンジ色の巨星で、中心でヘリウムを燃やす「赤色クランプ星」で、半径は太陽の12倍ほど。δ星(4.59等)は約137光年の白い星で、秒速300 km近い速さで自転し、9.4等の伴星が74秒角離れて回る三重星でもあります。

南銀極と銀河たち — α星の北西およそ3度に南銀極があり、そのさらに北西に8等の渦巻銀河NGC 253があります。1783年にカロライン・ハーシェルが見つけたこの銀河は約1,100万〜1,200万光年にあり、傾いた楕円の姿から「銀貨銀河」と呼ばれます。爆発的に星が生まれているスターバースト銀河で、双眼鏡でも細長いにじみとして見えます。NGC 253は局部銀河群に近い「ちょうこくしつ座銀河群」の中心で、同じ星座のNGC 55とNGC 300はその手前に浮かぶ対の銀河です。もっと近い約28万〜29万光年には、1937年にシャプレーが見つけた天の川銀河の伴銀河「ちょうこくしつ座矮小銀河」があり、重い元素の乏しい古い星の集まりです。いちばん遠いのは約5億光年の「車輪銀河」で、小さな銀河が正面から突き抜けた衝撃でできた丸い環が、2022年のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の画像で知られています。

Gravity Weaver での攻略

ちょうこくしつ座は、ゲームでは4ステージ構成の星座。東端のα星から始まり、西へ長く離れたδ星、次に南西のβ星へ渡り、最後にβ星から北のγ星へ折り返して灯していきます。星座の登場順はプレイごとに変わり、日本で見つけにくい星座ほどゲームでも出にくくなっています。

主役ギミックは Nebula(減速雲)。南銀極の空にたなびくように、青緑色のガス雲が通り道に浮かび、太陽のかけらが中を通るあいだ速度をじわじわ奪います。α星からδ星への最初の一手は、実際の空でも15度離れた、この星座でいちばん長い区間。雲を抜けた先で勢いを失って時間切れになりがちなので、雲に入る前に引力場で振り回して十分な速度をつけ、雲を斜めに短く横切る進路を選ぶのがコツです。

中盤には Strong BH(強重力ブラックホール)が加わります。質量2.5倍の赤橙色のブラックホールは、加速して青くなったかけらでも振り切れません。δ星からβ星へ渡る区間は、ブラックホールから離れた側へいったんふくらませてから戻す軌道が安全です。後半には板隕石(Slab Meteor)も混じり、彫刻家ののみのように細長い板が盤面を横切ります。最後のβ星からγ星は短い折り返しなので、板が抜けた直後に小さな引力場で向きを変え、一手で灯し終えましょう。

ちょうこくしつ座を本編で描いて、集めよう

PLAY GRAVITY WEAVER

主な星

星名 バイエル符号 等級 スペクトル型
α Sclα Scl4.30B7 IIIp
β Sclβ Scl4.38B9.5 IVMNpe
γ Sclγ Scl4.41K1 III
δ Sclδ Scl4.59A0 V
η Sclη Scl4.86M2/M3 III
ζ Sclζ Scl5.04B4 V
ι Sclι Scl5.18K0 III
θ Sclθ Scl5.24F3/F5 V
π Sclπ Scl5.25K1 II/III

「Gravity Merge」の星座帳にちょうこくしつ座を灯そう

PLAY GRAVITY MERGE