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Constellation artwork © Johan Meuris / Stellarium — Free Art License (recolored & repositioned for display)
ほうおう座は、秋から初冬の宵、南の地平線すれすれに顔を出す星座です。面積は469平方度で88星座中37位と中くらいの大きさ。いちばん明るいのはα星アンカア(等級2.40)で、南の低い空にオレンジ色の2等星がぽつんと光ります。ただし星座は赤緯−39度から−58度に広がっているため、本州からは北半分しか地平線の上に出ず、鹿児島より南でようやく全体を見ることができます。アンカアが真南に来るのは11月中旬なら午後9時ごろ、12月中旬なら午後7時ごろで、その前後1〜2時間が観察の時間帯です。
16世紀末、オランダの航海者ピーテル・ケイセルとフレデリック・デ・ハウトマンは、東インドへの航海(1595〜97年)で南天の星の位置を測りました。その記録をもとに天文学者ペトルス・プランシウスが1598年ごろの天球儀に新しい12の星座を描き、ほうおう座はそのなかで最大の星座でした。ケイセル自身は航海の途中で亡くなり、観測記録は仲間の手でオランダに持ち帰られています。1603年にヨハン・バイエルの星図『ウラノメトリア』に載って広く知られるようになり、同じ年のデ・ハウトマンの星表には「Den voghel Fenicx(鳥のフェニックス)」と記されています。
つる座・くじゃく座・きょしちょう座とともに「南天の鳥」と呼ばれる一群のひとつです。天の川から離れた方向にあるため背景には遠い銀河が多く、2010年に南極点望遠鏡が見つけた巨大な「ほうおう座銀河団」や、4つの銀河が寄り集まった「ロバートの四つ子」(約1億6,000万光年)がこの方向にあります。さらに遠く、約72億光年には2つの銀河団が衝突している最中の巨大銀河団「エル・ゴルド」も見つかっています。日本とも縁があり、1956年12月、南極へ向かう第1次南極地域観測隊がインド洋上で、この星座から流れる未知の流星群に遭遇しました。
11月から12月の午後9時ごろ、南の低い空に「秋のひとつ星」フォーマルハウト(みなみのうお座)を見つけます。そこから左下(南東)へ20度あまり下ると、地平線のすぐ上にオレンジ色の2等星があります。それがアンカアです。東京付近ではアンカアの南中高度は約12度、沖縄でも約22度。南に海や平野が開けた場所と、低空まで澄んだ空が要ります。低空では大気に光が吸われるため、2等星のアンカアも3等星ほどの明るさにしか見えません。フォーマルハウトよりはっきり暗く、左下に少し離れてぽつんと光るのが目安です。
もうひとつの目印は、フォーマルハウト、くじら座のβ星デネブ・カイトス、エリダヌス座の1等星アケルナルが作る大きな三角形で、アンカアはそのほぼ中央にあります。ただしアケルナルは赤緯−57度で本州からは昇らないので、実際にはフォーマルハウトとデネブ・カイトスの中点から真下(南)へ20度ほどたどることになります。北緯40度あたりまで北上すると、アンカアでさえ高さ8度ほどにしか上がらず、星座の南側は地平線に沈んだままなので、日本は「ほうおう座が見える北限に近い国」といえます。南半球のオーストラリアや南アフリカでは晩春の宵に頭上高く昇り、本来の姿が楽しめます。
星座線は、アンカアからκ星・μ星・β星・ν星・γ星へと曲線状に連なる並びが体で、アラビアの人々はこの曲線を小舟の形に見ました。β星(3.3等)とγ星(3.4等)はアンカアの東(左)に並び、高さはアンカアよりさらに数度低くなります。アンカアのすぐ下(南)1.4度には白いκ星(3.9等)が寄り添っていて、双眼鏡なら同じ視野に入る手ごろな目印です。南の翼にあたるζ星ウーレンやη星は、本州からは地平線の下で、沖縄まで南下してようやく高さ6〜8度ほどに顔を出します。双眼鏡でアンカアからβ星、γ星へと低空をたどるのが、日本での現実的な楽しみ方です。
ほうおう座は近世に作られた星座なので、星座そのものにギリシャ神話はありません。しかし名前の由来である不死鳥(フェニックス)は古い伝説の鳥です。紀元前5世紀のギリシャの歴史家ヘロドトスは、エジプトのヘリオポリスに500年に一度あらわれる聖なる鳥がいて、赤と金色の羽をもち、父の亡骸を没薬で包んで太陽の神殿へ運ぶと記しました。この鳥はエジプト神話の聖鳥ベンヌと結びつけて語られてきました。ベンヌはサギに似た姿で描かれ、太陽神や天地創造と結びついた鳥です。ただし、エジプト側の伝承がかえってギリシャの不死鳥の話に影響されたのではないか、という見方もあり、どちらが先かははっきりしていません。
のちにオウィディウスや大プリニウスといったローマの著述家たちが、香木の巣で死んだ親鳥の体から若鳥が生まれる話として伝え、さらに後世に「炎のなかで死に、灰から生まれ変わる」という筋書きが定着して、不死鳥は再生の象徴として、太陽や時のめぐり、復活などを表すものとしてヨーロッパの宗教美術や文学に広まりました。プランシウスが南の空の新星座にこの鳥を選んだのも、大航海時代に新しい空を「よみがえらせた」気分と無縁ではなかったのでしょう。
一方、この星々を古くから見ていたアラビアの天文学者たちは、隣のエリダヌス座(川)に浮かぶ小舟「アル・ザウラク」と見ていました。アンカアの古い呼び名「ナイル・アル・ザウラク」は「小舟の明るい星」という意味です。若いダチョウの群れと見る伝えもありました。小舟の名はラテン語化した「キュンバエ(Cymbae)」の形でも星表に残っています。現在の正式名アンカアはアラビア語で不死鳥を意味する言葉に由来し、IAUが固有名として採用しています。中国の星図では、明代に南天の星がまとめられたとき、この星々は「火鳥(かちょう)」という鳥の星官に入り、アンカアは「火鳥六」と呼ばれます。17世紀のドイツの天文学者ユリウス・シラーは、星座をすべて聖書の題材に置き換えた星図のなかで、ほうおう座とつる座を合わせて大祭司アロンの姿に描きました。
アンカア(α Phe) — 約80光年にあるオレンジ色のK型巨星で、等級2.40。質量は太陽とほぼ同じですが、年老いて半径は太陽の13倍あまりにふくらみ、太陽の80倍あまりの明るさで輝いています。スペクトルの動きから相手の星の存在が分かっている分光連星で、約10.5年(3,849日)の周期で回り合っています。
ウーレン(ζ Phe)・β星・γ星 — 連星だらけの星座 — ζ星ウーレンは約300光年にある青白いB型星どうしの食連星で、約1.67日の周期で互いを隠し合い、3.9等から4.4等まで明るさが変わります。さらに2つの伴星をもつ4重星と考えられています。固有名ウーレンはオーストラリア北部の先住民ワーダマンの言葉に由来し、2017年にIAUが正式名としました。β星は2つの黄色い巨星(どちらもG8型)が170年ほどの周期で回り合う連星で、約180光年。合わせて3.3等ですが1個ずつは4.1等と4.2等とほぼ同じ明るさで、離角は1秒角に満たず、分離には大きな望遠鏡と安定した空が要ります。γ星も約234光年の赤みの強い巨星で、半径は太陽の50倍ほど。約194日周期で相手の星と回り合う分光連星で、明るさもわずかに変わります。
SX Phe と HE 0107-5240 — 古い星の生き証人 — 7等星のSX星は、わずか79分(0.055日)の周期で6.8等から7.5等まで脈動する星で、「SX Phe 型変光星」の原型です。銀河系の古い星(種族II)の仲間なのに若い星のようにふるまうため、星の合体で若返った「青色はぐれ星」と考えられています。15等の暗い星HE 0107-5240は2002年に見つかった、鉄が太陽の16万分の1しかない極端に金属の乏しい星で、宇宙の初期に生まれた約130億歳の星と考えられています。ほうおう座の方向には、光が届くまで60億年近くかかる巨大な銀河団もあり、この「ほうおう座銀河団」はおよそ1,000個の銀河を含み、X線で特に明るい銀河団として知られ、中心の銀河は年に太陽740個ぶんもの星を生み出しています。また、ほうおう座では10個ほどの星に惑星が見つかっていて、WASP-4やWASP-5のように主星の前を横切る(トランジットする)巨大ガス惑星をもつ12等前後の星や、9等の明るい主星をもつWASP-18が知られています。
ほうおう座流星群 — 1956年12月、南極観測船「宗谷」でインド洋を南下していた第1次南極地域観測隊が、それまで知られていなかった活発な流星群に出会いました。母天体は1819年に一度見られたきり行方不明になっていたブランパン彗星(289P)で、2003年に小惑星として再発見された、ほとんど活動をやめた「枯れた彗星」です。流星群の活動期間は11月29日から12月9日ごろで、放射点が南に低いため、日本では南の低空から流れ上がる流星を見ることになります。1956年のあとは出現がなく「幻の流星群」と呼ばれましたが、川崎市の佐藤幹哉さんと国立天文台の渡部潤一さんがダスト・トレイル理論で2014年の再出現を予報。2014年12月1〜2日、米国ノースカロライナ州の観測隊が9台のカメラで29個の群流星をとらえ、スペインのラ・パルマ島でも天候に阻まれながら少数の群流星がとらえられ、58年ぶりの復活となりました。流星の数から、母彗星の活動が18世紀ごろの1割以下に衰えていることも分かっています。
ほうおう座は、ゲームでは6ステージ構成の星座。アンカアから始まり、ε星、β星、γ星、δ星、そして南の翼のウーレン(ζ星)の順に、頭の小さな三角形から胴、翼の先へと灯していきます。ゲームの星座線は、アンカア・ε星・β星の小さな三角形と、β星・γ星・δ星・ζ星の四角形を組み合わせた形です。星座の登場順はプレイごとに変わり、日本で見つけにくい星座ほどゲームでも出にくくなっています。
主役ギミックは Pulsar(パルサー)。炎のなかで生まれ変わる不死鳥にちなんで、中心の点滅と同心円リングが次の発射タイミングを予告し、パルス発射中は太陽のかけらと隕石が外側へ押し出されます(破壊はされません)。リズムを読んで「無音時間」に通過するのがコツで、はじき飛ばされても引力場で軌道を引き戻せます。リングが広がりきってから次の発射までの間隔が読めれば、引力線を引き始めるタイミングを合わせるだけで通り抜けられます。
頭の三角形(アンカア・ε星・β星)は短い投擲で済みますが、γ星から先は星の間隔が広がり、翼の先のウーレンまでは長距離の投擲になります。後半に板隕石と減速雲が加わったら、板の進路を見てから引力場の位置を決め、雲に入る前に十分な速度をつけておきましょう。パルサーの無音時間に合わせて引力線で一気に距離を稼ぎ、ゴール手前で小さな引力場に受け止めさせる二段構えが安定します。翼の先のウーレンは他の星から離れているので、最後の1本は途中に引力場を置いて刻むか、一気に抜けるか、リングの広がり方を見てから決めましょう。
ほうおう座を本編で描いて、集めよう
PLAY GRAVITY WEAVER| 星名 | バイエル符号 | 等級 | スペクトル型 |
|---|---|---|---|
| アンカア(Ankaa) | α Phe | 2.40 | K0 III |
| β Phe | β Phe | 3.32 | G8 III |
| γ Phe | γ Phe | 3.41 | K5 II-III |
| ε Phe | ε Phe | 3.88 | K0 III |
| κ Phe | κ Phe | 3.93 | A7 V |
| δ Phe | δ Phe | 3.93 | K0 III-IV |
| ウーレン(Wurren) | ζ Phe | 3.94 | B6 V |
| η Phe | η Phe | 4.36 | A0 IV |
「Gravity Merge」の星座帳にほうおう座を灯そう
PLAY GRAVITY MERGE