CORONA AUSTRALIS

みなみのかんむり座 ― いて座の足元に沈む、南の小さな冠

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Constellation artwork © Johan Meuris / Stellarium — Free Art License (recolored & repositioned for display)

略符
CrA
最も明るい星
β CrA
観測時期
夏(北半球)
面積順位
80th
日本での見つけやすさ
★★★☆☆
南の低空にだけ上がる

概要

みなみのかんむり座は、夏の南の低い空、いて座の足元にある小さな星座です。面積は88星座中80位で、紀元2世紀にプトレマイオスがまとめた48星座の中では最も小さい部類に入ります。いちばん明るい星でも4等星(β星とα星がともに4.1等)ですが、4等星が6つほど半円にきれいに並ぶので、南の空が暗く開けた場所なら小さな冠の弧がはっきり見えます。北の空のかんむり座(Corona Borealis)と対になる「南の冠」です。北の冠には2等星アルフェッカという宝石がはまっていますが、南の冠には2等星も3等星もなく、同じ明るさの4等星だけで編んだ花輪のような姿をしています。

古代ギリシャから知られた星座で、紀元前3世紀の詩人アラトスは名前を挙げずに南北2つの「冠(ステファノイ)」として歌い、プトレマイオスは「南の冠(ステファノス・ノティオス)」として13の星をまとめました。その13星には、今はぼうえんきょう座に属するα星も含まれていて、星座の境界が正式に決まる前の冠は、いまより少し南まで広がっていたことになります。ラテン語名は16〜17世紀の星図ごとにゆれ、IAUも1922年に Corona Australis と定めたあと一時 Corona Austrina を使い、現在は Corona Australis に統一されています。日本語名も明治初期の「南方ノ王冠」から「南冠」を経て、1952年に日本天文学会がひらがなの「みなみのかんむり」に定めました。

小さく暗い星座ですが、宇宙のスケールでは注目の場所です。冠の北側には、太陽系に最も近い星形成領域のひとつ「みなみのかんむり座分子雲」が広がり、生まれたての星々とそれが照らす反射星雲NGC 6729が、望遠鏡と天体写真の人気の対象になっています。冠の西には、双眼鏡でも見える古い球状星団NGC 6541もあります。さらに、3月中旬にはこの星座を放射点とする「みなみのかんむり座流星群」が活動し、1992年には1時間に45個を数えた記録が残っています。

見つけ方

8月上旬から下旬の午後9時ごろ、南の空の低いところにいて座を探します。いて座の中心には、6つの星がひしゃく形に並ぶ「南斗六星」があり、周囲の星と合わせると急須の形に見えるので「ティーポット」とも呼ばれます。ティーポットの底の東の角にあたるアスケラ(いて座ζ星)から南へおよそ8度、こぶし1つ分ほど下がったところに、4等星が半円に並ぶ小さな弧が見つかれば、それがみなみのかんむり座です。南中は6月末なら真夜中、7月中旬なら午後11時ごろで、時期が早いほど夜ふかしが必要になります。高さが低いぶん、南中前後の1〜2時間が勝負です。

弧の東側にはβ星とα星(メリディアナ)がほぼ同じ明るさで縦に並び、そこから北西へγ星・ε星、南西へδ星・ζ星と続いて、冠の丸みを作ります。弧の大きさは5度ほどで、双眼鏡の視野にほぼ収まります。弧から西へ大きく離れたθ星が冠の根元、リボンの端にあたります。東京付近では、南中してもメリディアナで高さ約16度、θ星は約12度と、南の地平線からわずかしか上がりません。

そのため、南の地平線近くが建物や山で隠れていない場所が必須で、街の空では地平線近くのかすみに埋もれてまず見えません。夏の天の川がいて座のあたりでいちばん濃く見えるような暗い空で、ティーポットを見つけてから、その底のすぐ南に双眼鏡を向けるのが確実です。月明かりのない新月前後の晴れた夜を選び、南に海や平野が広がる場所へ出かけるのがいちばんの近道で、夏のキャンプや帰省の夜は絶好の機会になります。南半球では頭上近くを通り、肉眼でもきれいな弧が見える星座です。星座全体が見えるのは北緯53度より南の土地に限られ、イギリスからは地平線の下に隠れたままです。北緯35度前後の日本は、かろうじて冠の全体が地平線の上に顔を出す場所だと言えます。

神話と文化

古代ギリシャでは、この冠はいて座(半人半馬の射手)の足元に置かれたものと考えられ、射手の頭から落ちた冠とも、隣のケンタウルス座のケンタウロスの冠とも語られました。「射手の冠(コロナ・サギッタリイ)」という別名があり、ローマでは「射手の黄金の冠」と呼ばれたのもそのためです。5世紀には「小さな空(パルウム・カエルム)」、18世紀にはラランドが「南の花輪」と呼ぶなど、名前は時代ごとに変わりました。

神話としては、酒の神バッカス(ディオニュソス)が母セメレのために天に置いた冠、という伝えが知られています。ユピテル(ゼウス)と結ばれた人間の娘セメレは、嫉妬した女神ユノ(ヘラ)にそそのかされて「神の本当の姿を見せてほしい」と願い、その輝きに焼かれて命を落とします。成長して神となったバッカスが、母をたたえて空に置いた花輪がこの星座だ、という物語です。

アラビアでは、この星の弧を「亀」「天幕」「ダチョウの巣」などになぞらえ、のちにギリシャ天文学を受け継いで「南の冠」と呼ぶようになりました。中国では二十八宿の斗宿(としゅく)に属する星官「鼈(べつ)」、すなわちスッポンとされ、18世紀の『欽定儀象考成』ではα・β・γ・δ・ζ・θ星など11の星(うち1つは今のぼうえんきょう座)で甲羅の丸い形を描いています。さらに古い西周の時代には「天鼈(てんべつ)」と呼ばれ、この星が夜明け前の空に現れることが冬の始まりの目印だったとされますが、歳差で星の位置がずれるにつれて暦の上での役目は失われていきました。南の低空に浮かぶ小さな弧は、洋の東西で丸い生き物や器に見えたようです。

星の豆知識

メリディアナ(α CrA) — 約125光年の白いA型星で、4.1等。名前は、北のかんむり座の1等星アルフェッカに対して「南のアルフェッカ(Alphekka Meridiana)」と呼ばれた伝統名を短くしたもので、2017年にIAUが正式名として採用しました。赤道で秒速200 km近い速さで自転し、わずか14時間ほどで1回転する高速自転星です。赤外線が余分に放たれていることから、ベガのように塵の円盤を持つ可能性が指摘されています。

β CrA — 4.10等、約470光年のオレンジ色の巨星。αとβは等級で0.01しか違わず、肉眼では見分けがつきません。距離はαの4倍近くあるので、実際の明るさは太陽の600倍以上と、星座の中ではけた違いに明るい星です。伝統名アルクッバは、アラビア語で丸天井やドーム型の天幕を意味します。手前に漂う星間の塵で光が0.3等ほど弱められていて、塵がなければαより明らかに明るく見えていたはずの星です。

γ CrA — 約58光年にある4.2等の星で、小望遠鏡で楽しめる二重星として知られています。太陽より少し重いF型の星2つがほぼ同じ明るさ(各5.0等)で、約122年かけて互いのまわりを回っています。離角は2秒角ほどしかないので、口径10 cm前後の望遠鏡で倍率を上げて、そっくりな2つの点に割れるのを確かめてみましょう。同じ弧の上にあるε星(4.8等、約98光年)も連星ですが、こちらは2つの星が触れ合うほど近い「接触連星」で、約14時間で1周するあいだに2回暗くなり、7時間ごとに0.25等ほど明るさを変えます。望遠鏡では分離できない、光の変化でだけ連星と分かる星です。

みなみのかんむり座分子雲と NGC 6541 — 冠の北にある分子雲は約430光年と、太陽系から最も近い星形成領域のひとつで、太陽の7,000倍ほどの質量のガスと塵が集まっています。中心のコロネット星団は生まれて200万年に満たない若い星々の集団で、その代表であるR CrA(10等から14等まで不規則に変わる、若いハービッグAe/Be型星)が反射星雲NGC 6729を照らし、星の明るさとともに星雲の姿も変わります。γ星とε星のあいだには、分子雲の濃い部分が背後の星の光をさえぎる暗黒星雲Bernes 157が横たわり、写真では天の川の中に黒い裂け目のように写ります。一方、冠の西の球状星団NGC 6541は、1826年にイタリアのカッチャトーレが見つけた6等の星団で、距離は2万光年あまり、宇宙の年齢に迫るほど古い星の集まりです。双眼鏡では丸いにじみ、口径30 cmの望遠鏡なら100個ほどの星に分かれて見えます。

Gravity Weaver での攻略

みなみのかんむり座は、ゲームでは5ステージ構成の星座。星座を代表する星として図鑑の表でも先頭に置いたβ星から始まり、南のδ星、北へ戻ってメリディアナ(α星)、γ星と冠の弧をたどり、最後に西へ大きく離れたθ星へと灯していきます。星座の登場順はプレイごとに変わり、日本で見つけにくい星座ほどゲームでも出にくくなっています。

主役ギミックは Strong BH(強重力ブラックホール)。通常のブラックホールに加えて、質量2.5倍の赤橙色のブラックホールが1つ加わります。加速して青くなった太陽のかけらでも振り切れないので、いつもの「勢いでかすめて抜ける」手は通じません。冠の弧をなぞるように、強重力ブラックホールから離れた側を大きく回り込む引力場を先に置くのがコツです。冠の弧の区間は星どうしの間隔が短いぶん、ブラックホールと星の距離も近く、逃げ道が狭くなりがち。まっすぐ狙うより、いったん外側へふくらませてから戻す軌道のほうが安全です。

後半には Nebula(減速雲)と重力流が加わり、最後のθ星へは冠の弧を離れて長距離の投擲になります。実際の空でもθ星は弧から西へ大きく離れていて、ゲームの盤面でも冠の星どうしの間隔の何倍もの距離を一気に渡ることになります。雲に入る前に十分な速度をつけ、重力流で距離を稼いでから、ゴール手前で小さな引力場に受け止めさせる二段構えが安定します。強重力ブラックホールの近くを流れが通るときは、流れに乗る位置を手前にずらして、引き込まれる前に通り抜けましょう。

みなみのかんむり座を本編で描いて、集めよう

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主な星

星名 バイエル符号 等級 スペクトル型
β CrAβ CrA4.10K0 II/III
メリディアナ(Meridiana)α CrA4.11A0/A1 V
γ CrAγ CrA4.23F7 IV-V
δ CrAδ CrA4.57K1 III
θ CrAθ CrA4.62G5 III
ζ CrAζ CrA4.74A0 Vn
ε CrAε CrA4.83F3 IV/V
λ CrAλ CrA5.11A0/A1 V
μ CrAμ CrA5.20G5/G6 III

「Gravity Merge」の星座帳にみなみのかんむり座を灯そう

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